一人親方の労災保険

労災保険の特別加入制度

労災保険は、もともと会社に勤める従業員のための制度です。従業員がお仕事中の怪我により通院、入院が必要になった場合、それは会社の使用者責任により労災補償をするものであります。

その一方で会社経営者は従業員ではないため、労災補償を受けることができません。従業員ではない建設の自営業者のようないわゆる一人親方も同様に労災保険を利用することはできませんが、業務の内容、形態等を考慮して従業員に準ずるとみなして労災保険を受けることが可能です。それが特別加入制度と呼ばれるものです。

しかし、一人親方が労働基準監督署に行ってもこの特別加入制度に加入することはできません。建設業の一人親方の特別加入については、厚生労働省から認可をうけた一人親方等の団体をひとつの適用事業とし、その団体の構成員である一人親方を、その団体に使用される労働者とみなして、適用事業の保険関係と同様に取り扱うこととしています。

京都労災一人親方部会は、建設業の一人親方の団体であり、厚生労働大臣(京都労働局)の承認を受けた特別加入のための団体です。

一人親方とは

一人親方等とは、労働者を使用しないで事業を行うことを常態とする者およびその事業に従事する者であっても労働者でない者(例えば、一人親方の配偶者、同居の親族)をいいます。
簡単に言いますと、建設にまつわるお仕事を個人事業で営まれている方でしたら大体は「一人親方」といえると思われます。中には多忙時期のみ臨時的に人を使用される一人親方もおられますがその程度でしたら問題はありません。年間にして100日以上人を雇用しているような場合は当会への入会が難しくなりますのでまずは現状についてご相談ください。

当会は京都を中心に関西およびその周辺地区の一人親方様を対象にしています

ごくまれに関東在住の一人親方様から加入のご相談をいただくことがございますが、当会への加入可能な範囲があらかじめ法律によって定められておりますので以下の所在地をご確認お願いいたします。
なお、関東在住のかたには提携団体の「埼玉労災一人親方部会」をご紹介させていただいております。

京都労災一人親方部会に加入できる一人親方の対象エリア
京都労災一人親方部会に特別加入することができるのは、京都府、大阪府、滋賀県、奈良県、兵庫県、福井県、三重県、和歌山県、鳥取県、岡山県に居住する建設の事業を行う一人親方等です。

当会に加入できる建設業の一人親方とは

一言で建設業と申しましても色々ございます。基本的な考えとしては建設に関わる付属業種を含めて「建設業」と言います。なかには思い込みで建設業には該当しないと考えて、特別加入の機会を長年逃しておられる方もいらっしゃるようです。国の労災保険に加入できる建設業の範囲は以下の通りです。

建設工事の種類 建設工事の内容
昭和47年3月8日
建設省告示第350号
土木一式工事 総合的な企画、指導、調整のもとに土木工作物を建設する工事(補修、改造又は解体する工事を含む。以下同じ。) 土木工事業
建築一式工事 総合的な企画、指導、調整のもとに建築物を建設する工事 建築工事業
大工工事 木材の加工又は取付けにより工作物を築造し、又は工作物に木製設備を取付ける工事 大工工事、型枠工事、造作工事 大工工事業
左官工事 工作物に壁土、モルタル、漆くい、プラスター、繊維等をこて塗り、吹付け、又ははり付ける工事 左官工事、モルタル工事、モルタル防水工事、吹付け工事、
とぎ出し工事、洗い出し工事
左官工事業
とび・土工・コンクリート工事業 イ) 足場の組立て、機械器具・建設資材等の重量物の運搬配置、鉄骨等の組立て、工作物の解体等を行う工事 とび工事、ひき工事、足場等仮設工事、重量物の揚重運搬配置工事、鉄骨組立て工事、コンクリートブロック据付け工事、工作物解体工事 とび・土工工事業
ロ) くい打ち、くい抜き及び場所打ぐいを行う工事 くい工事、くい打ち工事、くい抜き工事、場所打ぐい工事
ハ) 土砂等の掘削、盛上げ、締固め等を行う工事 土工事、掘削工事、根切り工事、発破工事、盛土工事
ニ) コンクリートにより工作物を築造する工事 コンクリート工事、コンクリート打設工事、コンクリート圧送工事、プレストレストコンクリート工事
ホ) その他基礎的ないしは準備的工事 地すべり防止工事、地盤改良工事、ボーリンググラウト工事、土留め工事、仮締切り工事、吹付け工事、道路付属物設置工事、捨石工事、外構工事、はつり工事
石工事 石材(石材に類似のコンクリートブロック及び擬石を含む。)の加工又は積方により工作物を築造し、又は工作物に石材を取付ける工事 石積み(張り)工事、コンクリートブロック積み(張り)工事 石工事業
屋根工事 瓦、スレート、金属薄板等により屋根をふく工事 屋根ふき工事 屋根工事業
電気工事 発電設備、変電設備、送配電設備、構内電気設備等を設置する工事 発電設備工事、送配電線工事、引込線工事、変電設備工事、構内電気設備(非常用電気設備を含む。)工事、照明設備工事、電車線工事、信号設備工事、ネオン装置工事 電気工事業
管工事 冷暖房、空気調和、給排水、衛生等のための設備を設置し、又は金属製等の管を使用して水、油、ガス、水蒸気等を送配するための設備を設置する工事 冷暖房設備工事、冷凍冷蔵設備工事、空気調和設備工事、給排水・給湯設備工事、厨房設備工事、衛生設備工事、浄化槽工事、水洗便所設備工事、ガス管配管工事、ダクト工事、管内更生工事 管工事業
タイル・れんが・ブロック工事 れんが、コンクリートブロック等により工作物を築造し、又は工作物にれんが、コンクリートブロック、タイル等を取付け、又ははり付ける工事 コンクリートブロック積み(張り)工事、レンガ積み(張り)工事、タイル張り工事、築炉工事、石綿スレート張り工事 タイル・れんが・ブロック工事業
鋼構造物工事 形鋼、鋼板等の鋼材の加工又は組立てにより工作物を築造する工事 鉄骨工事、橋梁工事、鉄塔工事、石油、ガス等の貯蔵用タンク設置工事、屋外広告工事、閘門、水門等の門扉設置工事 鋼構造物工事業
鉄筋工事 棒鋼等の鋼材を加工し、接合し、又は組立てる工事 鉄筋加工組立て工事、ガス圧接工事 鉄筋工事業
ほ装工事 道路等の地盤面をアスファルト、コンクリート、砂、砂利、砕石等によりほ装する工事 アスファルト舗装工事、コンクリート舗装工事、ブロック舗装工事、路盤築造工事 ほ装工事業
しゅんせつ工事 河川、港湾等の水底をしゅんせつする工事 しゅんせつ工事 しゅんせつ工事業
板金工事 金属薄板等を加工して工作物に取付け、又は工作物に金属製等の付属物を取付ける工事 板金加工取付け工事、建築板金工事 板金工事業
ガラス工事 工作物にガラスを加工して取付ける工事 ガラス加工取付け工事 ガラス工事業
塗装工事 塗料、塗材等を工作物に吹付け、塗付け、又ははり付ける工事 塗装工事、溶射工事、ライニング工事、布張り仕上工事、鋼構造物塗装工事、路面標示工事 塗装工事業
防水工事 アスファルト、モルタル、シーリング材等によって防水を行う工事 アスファルト防水工事、モルタル防水工事、シーリング工事、塗膜防水工事、シート防水工事、注入防水工事 防水工事業
内装仕上工事 木材、石膏ボード、吸音板、壁紙、たたみ、ビニール床タイル、カーペット、ふすま等を用いて建築物の内装仕上げを行う工事 インテリア工事、天井仕上工事、壁張り工事、内装間仕切り工事、床仕上工事、たたみ工事、ふすま工事、家具工事、防音工事 内装仕上工事業
機械器具設置工事 機械器具の組立て等により工作物を建設し、又は工作物に機械器具を取付ける工事 プラント設備工事、運搬機器設置工事、内燃力発電設備工事、集塵機器設置工事、給排気機器設置工事、揚排水機器設置工事、ダム用仮設備工事、遊戯施設設置工事、舞台装置設置工事、サイロ設置工事、立体駐車設備工事 機械器具設置工事業
熱絶縁工事 工作物又は工作物の設備を熱絶縁する工事 冷暖房設備、冷凍冷蔵設備、動力設備又は燃料工業、化学工業等の設備の熱絶縁工事 熱絶縁工事業
電気通信工事 有線電気通信設備、無線電気通信設備、放送機械設備、データ通信設備等の電気通信設備を設置する工事 電気通信線路設備工事、電気通信機械設置工事、放送機械設置工事、空中線設備工事、データ通信設備工事、情報制御設備工事、TV電波障害防除設備工事 電気通信工事業
造園工事業 整地、樹木の植栽、景石のすえ付け等により庭園、公園、緑地等の苑地を築造する工事 植栽工事、地被工事、景石工事、地ごしらえ工事、公園設備工事、広場工事、園路工事、水景工事、屋上等緑化工事 造園工事業
さく井工事 さく井機械等を用いてさく孔、さく井を行う工事又はこれらの工事に伴う揚水設備等を行う工事 さく井工事、観測井工事、還元井工事、温泉掘削工事、井戸築造工事、さく孔工事、石油掘削工事、天然ガス掘削工事、揚水設備工事 さく井工事業
建具工事 工作物に木製又は金属製の建具等を取付ける工事 金属製建具取付け工事、サッシ取付け工事、金属製カーテンウォール取付け工事、シャッター取付け工事、自動ドアー取付け工事、木製建具取付け工事、ふすま工事 建具工事業
水道施設工事 上水道、工業用水道等のための取水、浄水、配水等の施設を築造する工事又は公共下水道若しくは流域下水道の処理設備を設置する工事 取水施設工事、浄水施設工事、配水施設工事、下水処理設備工事 水道施設工事業
消防施設工事 火災警報設備、消化設備、避難設備若しくは消化活動に必要な設備を設置し、又は工作物に取付ける工事 屋内消火栓設置工事、スプリンクラー設置工事、水噴霧、泡、不燃性ガス、蒸発性液体又は粉末による消火設備工事、屋外消火栓設置工事、動力消防ポンプ設置工事、火災報知設備工事、漏電火災警報機設置工事、非常警報設備工事、金属製避難はしご、救助袋、緩降機、避難橋又は排煙設備の設置工事 消防施設工事業
清掃施設工事 し尿処理施設又はごみ処理施設を設置する工事 ごみ処理施設工事、し尿処理施設工事 清掃施設工事業

加入時の健康診断について

当会に入会を希望される一人親方様には、非常に希なケースですが、次表に記載されている「特別加入予定の業務の種類」欄に応じて、それぞれの従事期間を超えてその業務を行ったことがある場合には、特別加入の申請を行う際に健康診断を受けていただくことになります。

国側としましては、特別加入への加入後の事故についてはすべて補償してくれるのですが、加入前の原因による事故については補償をしてくれません。それを事前にチェックするのが加入時の健康診断です。

ただし、この健康診断の費用は、国が負担するため無料です。(診断を受けるための休業補償はありません。)

この健康診断は、労働基準監督署が指定する医療機関において、指定された期限内に受診しなければなりません。この健康診断を受けた方は、「健康診断証明書」を労働基準監督署に提出することになります。

必要な健康診断

特別加入予定の業務の種類 特別加入前に先の業務に従事した期間 実施すべき健康診断
粉じん作業を行う業務 3年 じん肺健康診断
身体に振動を与える業務 1年 振動障害健康診断
鉛業務 6ヶ月 鉛中毒健康診断
有機溶剤業務 6ヶ月 有機溶剤中毒健康診断

該当するかもしれない可能性がある工事種別

※下記の業種の方に必ず必要というわけではありませんので、誤解されませんようにお願いいたします。(該当する方は、かなり希です)

たとえば大工さんは、お仕事で、電動ノコギリやチエーンソーを使用しますが、必ずしも健康診断が必要なわけではありません。使用頻度が低ければ問題ありません。林業に長い期間、従事していた等の経験がある場合に必要となります。(労働局に確認しました)

特別加入予定の業務の種類 工事の種類
粉じん作業を行う業務 とび・土工工事業、左官工事業、石工事業、タイル・レンガ・ブロック工事業、鋼構造物工事業、鉄筋工事業、ガラス工事業、内装工事業、熱絶縁工事業など
身体に振動を与える業務 大工工事業、とび・土工工事業、舗装工事業、防水工事業など
鉛業務 電気工事業、電気通信工事業など
有機溶剤業務 内装工事業、防水工事業、内装工事業など

健康診断を受けることになっても大丈夫です!

健康診断の結果を見てからの判断になりますが、過去からのダメージがなければ特別加入できますのでご安心ください。診断結果によっては保険給付に制限をうけたり、加入自体をお断りすることもありますが、それは稀なケースです。

過去の経歴を隠して特別加入してもいざという時に保険給付を受けられないことがありますのでそのような事だけは避けたいものですね。

京都労災一人親方部会のお問い合わせ

労災保険への加入でお悩みでしょうか。ご質問ご相談は、下記窓口までお気軽にどうぞ。

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